人財育成

【管理職にお勧め】管理職1年目の教科書(櫻田毅著)

今回のお勧めの1冊は「管理職1年目の教科書」(櫻田毅さん著作・東洋経済新報社)です。最近コロナの影響で、出張や研修が中止や延期になり、普段よりも本を読むペースが上がってきてしまっているこの頃です。仕方ないことですが、ここは第2領域を充実させる時間だと思って、日々インプットを増やしています。

さて、この本、管理職になりたての方に特におススメですね。外資系マネジャーが絶対にやらない36のルール、とサブタイトルが付いている通り、日本企業では当たり前になっていることを前提から疑う、というところが面白いですね。なかなか決断できない日本企業のよくある「あるあるケース」がたくさんあります。

人の育て方にも、かなり納得のあるルールがたくさん紹介されています。例えば…本人任せの無責任な「失敗から学べ」をやめる、です。これも現場でよく聞くあるある。「たくさん経験させてあげているのに、全然失敗から学んでないですよね。むしろ失敗することを恐れて、失敗すらしないんです。」とよく管理職の方々から相談されます。

失敗すらしない、というのは、そもそも何も経験させていないからなんですよね。上司の描いたとおりに動いている限り、ほとんど失敗しませんから。だからこそ、部下本人に考えさせることが大切ですし、それが成功に繋がる失敗になるように導いていかなければいけません。そのプロセスも丁寧に書かれています。

また、忙しいことをアピールするのをやめる。これも大いに賛成共感です。管理職が一番忙しいのは、アピールしなくても当たり前。アピールすればするほど、部下は相談しにくくなりますし、また自分はそんな上司になりたくないと、管理職になりたがらない人が増えるだけです。もっともっと余裕を見せないといけません。

でも、日本企業の多くにおいては、「忙しいとアピールすることが、優秀だ」みたいなバカげた当たり前があることも事実です。優秀だから、俺忙しい、みたいな感じです。

「忙しい」「難しい」「大変だ」このようなネガティブワードは自分自身の脳にもネガティブな思考を植え付けていきます。英語圏の人たちは、忙しいの代わりに「チャレンジだ」という言葉をよく使うそうです。するとポジティブなイメージに変わりますね。

私も研修でこのポジティブワードを使おうというメッセージをよくお伝えします。「疲れた」ではなく、「頑張った」という言葉を使うようにする。すると人間は疲れないんですよね。「頑張った」という言葉は、明日に向けての活力になります。「大変だよね」を「遣り甲斐あるよね」という言葉に変えていく。

これは自分自身にも有効ですし、部下や周りの人への影響も大いにあります。ネガティブの言葉をよく使う上司は、あの人に相談しても…と思われますし、逆に、ポジティブワードをよく使う上司は、頼りがいもありますし、何より何とかしてくれそう、と思われます。

この本に書いているには、心構えや考え方が全てなので、何か大きな仕組みや仕掛けは必要ありません。大手企業でも中小零細企業でも通じることばかり。ぜひ、管理職になりたての方に読んでほしい1冊ですね。

【管理職以上にお勧め】NEWTYPEニュータイプの時代(山口周著)

今日のお勧めの1冊は「NEWTYPEニュータイプの時代」山口周さん著作(ダイヤモンド社発行)です。

情報革命時代の現代、どんどん時代が変化していることは、皆さん肌身に感じていることだと思います。ある学者が出した統計では、現在の10歳以下の子供たちの約8割は「今ない職種」に将来就くそうです。そう、8割もの職種がなくなると予想されているからです。

ビジネスの在り方、世界の広がり方、働き方もここ数年で、大きく変わりました。100億のビジネスではなく、1億のビジネスを100事業と言われる時代になり、もう10年くらい経ちますが、商品サービスだけではなく、働き方や働く意識についてもここ数年で大きく変化してきています。

これまでの仕事においては優秀な能力として、「問題解決力」と「推進力」と言われていました。ですから、多くの管理職研修の必須スキルとして、ロジカルシンキングやリーダーシップが組み込まれていますし、私の研修でももちろん入っています。

また、人事評価においてもKPIで管理し、生産性をどれだけ上げるのか?という視点が焦点になっているところも多いのではないかと思います。

しかし、これからの新時代においては、AIの登場により、問題解決は人間よりもはるかにAIの方が優れるだろうと予想され、これからの時代に必要なのは、解決する力ではなく「発見する力」が求められます。そして、新たに「創造する力」、これもAIではなかなか難しいところです。

リーダーシップの在り方も、皆を引っ張り導く従来の支配型ではなく、意味を与え、共に楽しむ、支えるサーバントリーダーシップが必須となってきます。というのも、じっくり考え実行するように、皆が同じ行動をするように指導するだけの時間的余裕がないからです。刻一刻と変化し、正解がない新時代においては、自らの規範にしたがい、とにかく試す、トライアルするという指導の仕方が必要になるからです。

というように…思考法、働き方、生き方、キャリア、学び方など様々なことが新時代に突入している今、管理職以上の古い世代のパラダイムシフトが必要になり、その考え方やノウハウがしっかり学べる1冊となっています。

この本を読んで、、、確かに新時代ではありますが、その根本は7つの習慣に代表されるような「人格形成」の根本に通じるのではないかと思います。つまり、また第一次戦争以前の時代に戻った「新しい世界の創造」という時代に戻っている、そんな感覚を受けました。

モノが溢れかえり、モノが充実しすぎている新時代だからこそ、コトの重要さやコトを生み出すことを訴求しているのではないかと思います。だからこそ、人としての「個人個人の規範、道徳」が「効率化=生産性を上げる」こと以上に重要な時代に、また戻ってきているのではないかと思います。改めて、著者の山口先生もすごいと思いますが、コヴィー先生のすごさを感じた1冊です。