2025年 8月 の投稿一覧

試行錯誤=成長

先日の管理職研修終了後、参加者の方からこんな質問を頂きました。
どれだけの信頼関係を築いても、成長を支援しても、
心理的安全性を確保してあげても、
現代の若手がそもそも会社を自身のステップアップのための踏み台にしか考えてなかったり、
売り手市場の現在、ライフイベントに合わせて責任を持たずに賃金が上げられる企業へ
移っていく考えである以上、ずっとこの会社で働き続けたいという
帰属意識や貢献意欲を持たせるのはとても困難だと感じます。
それならば、いっそのこと企業側がそのスタイルに合わせて
短期間で成果を上げさせ、長くは居続けない社員を
上手に使える体制・制度に変えていくのも一つの考えではないかと感じましたが、
これについてはどう思われますでしょうか。

仰る通り、これが一番の今の社会課題だと私も思います。
組織も変革し、指導も一生懸命しても、結局はさらっと辞められてしまう…
と心が疲弊します。

この疲弊感が正直大きいです。
そのような人を続けて数人指導すると、期待すら出来なくなってしまう…
という方も実際には多くいらっしゃいます。

私自身、起業する前はサラリーマンで管理職でしたので、
この疲弊感も何度も経験しました。
中小企業でしたので…10年間で100人育てて、3人残るかな、程度です。
でも3人残った、と捉えて続けていくしかない、を経験し、
自分がGMとなり、これを解消するために色んな具体策を実際にしていくと、
それが5人、10人と増えていきました。
諦めず、音を上げず、小さな改善をずっと粘り強くやり続けるしかない、と思っています。

短期間で成果を上げさせ、長くは居続けない社員を上手に使える体制・制度に変えていく。
これが世に言う欧米式、だと思います。

例えば欧米では、新入社員研修はそもそもありません。
出来る人が成果を上げていき、所得が増えていきます。
ですから年収100万円以下の人から、年収数億円まで貧富の差があります。

逆にレイオフも突然やってきます。
どれだけ真面目に働いていても、結果がでなければレイオフです。
多くの企業は最初から正社員採用はありません。
3~12か月使用期間があり、その間は極端に言えばいつでもクビに出来ます。

これは日本企業とはかなり違っていて、
どれだけ真面目に働いていても成果が出なければレイオフになり得ます。
正社員になっても、未来永劫なんてことはなく、期間更新制です。

この期間も個人の評価により年数が異なり、早い人は3か月単位です。
と言う風にかなりドラスティックなんです。
これは企業にとってみると、優秀な人材のみを育成せずに短時間で使える、
という魅力的に見える制度かもしれませんが、
一方で企業力がなければこれは成り立ちませんし、
人も企業も競争力によってこれは成り立つので、
人材の質も量も豊富な国でなければ成り立ちません。

日本は少子化で、世界競争力がまだまだ低い国ですので、
日本ではこの方式は成り立たないのです。
また日本人特有の国民性には合わないところも多いと思います。

ですので、日本式と言われているのが、
欧米式のジョブグレードは一部取り入れつつ、
終身雇用の良さも残した融合的な今の制度や方法(エンゲージメントを高める)です。

これについては、まだまだこれが正解だ、というのはどの企業も出ていません。
どの企業も模索しながら、です。
私個人の意見ではありますが、この模索する、というのがとっても大事だと思っています。
何が良いのか、何が正解なのか、は当然人や企業によって異なります。
万人に良いものはないと思います。

ただ、どの企業もどうしたらいいか?
を模索し試行錯誤し続けることが、人も企業そのものも成長だと思います。
管理職や経営層の役割とは、この模索と試行錯誤を諦めず、
粘り強く、やり続けることではないかと思います。

私自身、弊社の社員育成もそうですが
研修内容やコンテンツもチャレンジと試行錯誤の連続です。
でもこの試行錯誤が面白いなぁと思っています。

早いもので、もう8月も終わります。
あっという間に過ぎていく毎日ですが、その中でも
昨日よりも今日、今日よりも明日と
試行錯誤という名の成長を続けていきたいと思います。

個とは何か??

9日間という長い夏季休暇を終えられた方も多いのではないでしょうか。
私は前半は仕事をして、後半は墓参り、子供の宿題を見たり…
とゆっくりと過ごさせていただきました。

さて先日の終戦の日、何十年かぶりにテレビで「火垂るの墓」を観ました。
戦争に対して、いろいろ思うことはありますが、今日は少し違う視点から。

初めてこの映画を観たのはおそらく中学生か高校生の時。
その時には、戦争の悲惨さや反戦映画として捉えていたと思います。
一方で主人公の清太や節子に同情し、西宮のおばさんには「ひどい人や」と
嫌悪感を覚えました。
先日初めてこの映画を観た娘も同じことを言っていました。
「この人、最低や。」と…。

しかし私が思ったのは、西宮のおばさんが言っていることは
言い方は多少キツイですが、すごく真っ当で正論です。
「清太さんなあんたもう大きいねんから、助け合いということ考えてくれな
あんたらはお米ちっとも出さんと
それでご飯食べたいいうても、そらいけませんよ
通りません」
はい、その通りです。

また、初めて観たときには清太も節子も可哀そうすぎて気づきませんでしたが
彼らの周りには、たくさんたくさん手を差し伸べてくれた人はいたんです。
・学校で親切にしてくれた近所の女性
・遠い親戚にも関わらず清太と節子を受け入れてくれたおばさん
・家出した清太に、謝ってもう一度おばさんの家で暮らしなさいと諭してくれたおじさん
・畑泥棒で清太の罪をとがめずに、やさしく解放してくれた警察官

一方、自分勝手に好き勝手したのは清太だな、と。
・清太は働きにも出ないし、家の手伝いもしない
・家ではゴロゴロしてるか、節子と遊んでいるだけ
・散々お世話になっているのに「お礼の言葉」ひとつもない
・清太は亡き母の財産(結構な大金)を、分け合うことなく自分たちだけに使う
・勝手に調理道具を買ってきて、自分たちだけ食事をする。
 でも後片付けをしてくれたのはおばさん
じっくり見て…私が母の立場になったのかもしれませんが
そりゃ、勝手やわ、と感じました。

そして清太も節子も亡くなります。
でも餓死です。
もちろんこの戦争の時代でしたので、餓死の人も多かったと思いますが
隣組にも属していない、好き勝手やってきた彼らには配給もなかったでしょう。
もし、あの時好き勝手にせずに、おばさんの家で集団の中で
こうあるべき、をしていたら…と考えられました。

これは戦争だけではありませんが、世の中がすごく変わり、
私が小さい時とはずいぶん違う世の中になりました。
いわゆる社会的悪が少なくなっていて、多様性が認められ、
それぞれの価値観や考え方も認められ、誰もが生きやすい世の中になったと思います。
(まだ完璧ではありませんが…)
そして、それはとても良いことだと思います。

どんな価値観もそれを否定されることなく、それぞれが幸せに生きる権利を得られ、
それぞれの「個」を大事に出来る世の中になりました。

ただ、個を大事にするあまり、集団での在り方も変わりつつあります。
一昔前は「こうあるべき社会」で集団でのあり方が1つでした。
そこに異を唱えるとかなくて、こうゆうもんなんだ、だったんです。

例えば私は中高ダンス部でしたが、新入生は誰よりも早く練習場に来て、
掃除をして、休憩中も、自分は休憩せずに先輩方にお茶をいれ、次の準備をする。
練習が終わると、後片付けと掃除をして、
そして集合場所には誰よりも早く行かなければいけない、がありました。
それを「なぜ??」と思うこともなく、自分でも「新入生だから」と納得していました。

新入社員になったときも、先輩よりも早く会社に行き、
上司や先輩のお茶を入れ、机を掃除し、ゴミを片付け、
コピーを取ったり、来ているファックスを配ったり、郵送物を配ったり。
そして当然ですが、サービス残業という言葉もなく、
先輩や上司が帰るまでは帰れない世の中でした。
それを嫌だなとか、理不尽だと感じたこともあったと思います。
ただ、「なぜ??」と思うこともなく、これも「新入社員だから」と納得していました。

多様性を認め、それぞれの価値観を大事にする。
これはすごく良いことです。
そして、一昔前と比べて良い時代になりました。これも事実です。
でも一方で…
個を大事にするあまり、集団に居られない(居ることが辛く感じる)人たちも
増えたと思います。
色んな企業で研修をさせて頂いていて、世代間価値観の違いやダイバーシティ
ハラスメントなど様々な研修をさせて頂いておりますが
その都度、いつもこの問いに戻るんです。

価値観や考え方の違いも分かる
時代が変わったのも分かる
個が大事にさせることはいいことだ
でも、本当にいいことばっかり??

すぐに辞める人たち。
感謝の言葉も言わずに退職代行を使う。
メンタルメンタル、とすぐに言われる。
なんでもかんでもハラスメント。
好きなことを、好きな場所で、自分の得意な方法でやりたい。
挑戦して成長したいけど、挫折はしたくない。

これらを「今の時代はそうなんだね」と許容することではなく…
個を大事にするということは、個だけを大事にしてたらダメで
個を活かしつつ集団で貢献することなんだと思います。
会社や社会は集団です。
集団で貢献してはじめて、個が生きるのだと思います。
そんなことを考えさせられた8月15日でした。

仕事も人生も自分事

あっという間に8月になりましたね。
気が付けば今週1週間でお盆休暇に入る企業様も
多いのではないでしょうか?
先週も西へ東へ、今週も西へ東へ
色んな企業様に研修にお伺いしております。

この1か月で複数の企業様にて実施している管理職研修で
「現場でよくある、Z世代あるある」というプログラムがあり
タイトル通り、Z世代(だけではないですが)を中心に
最近現場でよくある、あるある事例について
どんな背景があるのか?そしてどう対応すべきか?
をディスカッションで学んで頂いております。

例えば…
テレワークで良くないですか??出勤って意味あります??
昼休憩5分遅れで取ったので、午後からの研修、5分遅くスタートしてください。
その仕事、明日でいいですか??
この仕事、嫌なんですけど、あの仕事をしていいですか??
などなど。

ただ、実際に研修をしてみると…
こんな人いてる??うちの会社には全然いないけど…
という会社様と(超羨ましい…)
わかるわかる~。毎日この会話してるわ。
という会社様と完全に二極化しているな、と改めて感じます。

全ての企業様でリサーチをしたわけではないですが…
前者は大手上場企業。後者は中小企業が多かったです。
(もちろん全員がそうではありません。)
やはり優秀な人は大手に集中しているのか、と改めて感じるんです。

加えて…
管理職になりたい、なりたくない、という若手の話もよく出ますね。
大手企業様の場合は…
うちのメンバーは管理職になりたい、という具体的な言葉ではないが
チームを持ちたい、プロジェクトリーダーをやってみたい
といった言葉はよく聞くけどね。
と仰います。(正直めちゃくちゃ羨ましい…)
もしかするとこれも企業規模によって違うのかもしれません。
この志向性も優秀たる所以なんでしょう。

ではこの優秀というキーワード、何をもって優秀というのか?
私は「自分事」に尽きると思います。
自分の仕事を、自分事として捉えていると
当然そこへの責任感も生まれるし、向上心も出てきます。
でもやらされ感や「会社の仕事」として捉えていると
言われたことだけやる、出来る限り楽な方法でやる
になっていきます。

新入社員研修でもよく伝える言葉ですが
仕事とは、相手があって初めて成り立つものです。
ですので、自分がどれだけ出来ていると思っていても
相手の期待を超えないことには、出来ている、になりません。
相手とはお客様も、お取引先様も、社内の他の人も同じです。

ですから常に、自分に掛けられている期待は何か?
自分がどう見られているのか?
何をすれば、相手に喜んでもらえるのか?
を行動し続けることが「自分事」であり、
それが相手の期待がどう変わろうとも、
応え続けられることが優秀だと思っています。

そして自分事になれば、仕事も人生も面白くなります。
先日お客様と会食の際に、仰っていたのが
「楽と楽しいは同じ漢字を使うけど、意味は真逆」です。
仰る通りだと思います。

他人事になれば、楽だけど楽しくない
自分事になれば、大変なこともあるけど楽しい
この違いですね。
大変なこともあるし、辛いこともあるし、もちろん凹むこともあるけど
でも楽しい。
そこには、自分事として自分から取り組むことが第一歩です。
毎日うだるような暑さですが…
皆様今日も自分の人生をめいっぱい生きましょう!

お知らせ
来週は夏季休暇により、お休みさせて頂きます。
8月19日に皆様お会いしましょう!