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管理職マネジメント

中堅社員が辞めていく会社の危険な特徴と実効性の高い防止策!離職を防ぎ組織を強くする方法

会社の中核を担う中堅社員が次々に辞めていくという状況は、どの企業にとっても深刻な課題です。中堅層の離職は、単に人手が不足するだけでなく、業務停滞や士気低下、採用・育成コストの増大といった悪影響を及ぼします。

では、なぜ中堅社員は辞めてしまうのでしょうか。離職を防ぐために企業が取るべき具体的な行動とは何でしょうか。この記事では、中堅社員が辞める主な理由や、辞めていく会社に見られる特徴、定着につなげるための実践的な対策を解説します。

中堅社員が会社を辞める主な理由

中堅社員の離職は、キャリア停滞感や待遇不満、働き方のミスマッチなど複数要因が絡み合って起こります。まずは代表的な理由を整理し、どこに手を打つべきかを明確にしていきましょう。

キャリアの停滞感と将来の不安

中堅層になると「期待したような昇進や成長が感じられない」と感じることがあります。実際、30~39歳では昇進や自己成長を課題とする声が多く、「昇進・キャリアアップが望めない」と感じて離職を検討するケースも少なくありません(出典:doda)。

事業拡大や組織拡大が停滞し、会社に将来のキャリアビジョンが見えないと、仕事に対する意欲が薄れ退職につながります。企業はキャリアプランの明確化や研修・ジョブローテーションなどで成長機会を提供し、社員の将来像を支援することが重要です。

給与・待遇への不満

給与水準や昇給見込みに不満を抱く中堅社員も多いです。転職理由の第1位には「給与が低い・昇給が見込めない」(36.9%)が3年連続で挙がっており、特に30代では41.2%がこの理由を挙げています(出典:doda)。

また、昇給・昇進が見込めないことも大きな不満要素です。結果として、他社に比べて給与水準が低い場合や公正な評価がされないと感じるとき、離職が現実的な選択肢となります。企業は定期的な処遇見直しや公正な評価制度で適正な報酬を保証し、待遇面の満足度を高めることが求められます。

複雑化する人間関係のトラブル

職場での人間関係の悪化やトラブルは離職の大きな要因です。中堅社員は上司・同僚・部下など幅広い層と関わるため、意見対立やハラスメントなど複雑なトラブルが発生しやすい点も背景です。

特に、同期同士の立場が変わったり、部下の指導に苦労したりすると「居心地の悪さ」を感じ、退職につながりやすくなります。企業は日常的に良好なコミュニケーションを促進し、人間関係の悩みを早期に解消する仕組みを整える必要があります。

過度な業務量や責任の増加

中堅社員には業務量や責任が急増しやすい時期でもあります。入社3年目以降は、仕事領域が拡大しやすく、一人立ちが求められることが一般的な理由です。人員体制が不足していたり、無理なスケジュールで作業を押しつけられたりすると、長時間労働や心身の負担が過度に大きくなり、離職を決意する要因となります。

対策としては、適正な人員配置と業務分担、残業のモニタリング強化、タスク削減などでワークロードを調整し、社員の負担を軽減することが重要です。

会社の将来への不安とビジョン不足

会社の将来性や経営状態に不安を覚えて辞めるケースがあります。中堅層は社内外の情報にも精通するため、事業戦略や業績動向、経営ビジョンが不明確だと会社に不信感を抱きやすいのです。

特に働き盛りの世代は将来の雇用の安定性も重視するため、企業が明確なビジョンを示さないと離職につながります。企業は長期戦略や将来計画を社内で共有し、不安を解消する必要があります。

働き方と生活のミスマッチ

中堅社員は結婚や子育てなどライフスタイルが変化する年代でもあります。独身時代は業務中心だった生活が、家庭やプライベートとの両立を望むようになると、従来の働き方との間にズレが生じます。

例えば、残業や転勤が多いと家庭生活に支障が出たり、勤務地が遠距離だと育児との両立が難しくなったりします。こうしたミスマッチが解消されない場合、ワーク・ライフ・バランスを重視する中堅社員は退職を考える要因となります。

企業は時短勤務や在宅勤務、柔軟な勤務時間制度など多様な働き方を導入し、社員の生活事情に配慮した職場環境を整備することが有効です。

中堅社員の離職が会社に及ぼす波及効果

中堅社員の退職は、士気の低下や業務停滞、退職の連鎖を引き起こしやすく、採用・育成コストも膨らみます。離職の波及効果を把握し、早期対策の重要性を確認しましょう。

社内の士気低下と組織文化の悪化

中心的な役割を担っていた社員が辞めると、残されたメンバーは大きな不安を抱えます。職場の雰囲気が重くなり、経営陣への信頼感も揺らぎやすくなります。士気が下がった状態ではチームワークが機能しにくく、成果の質やスピードにも影響が出てしまいます。

さらに、他の社員が「会社に将来性はあるのか」と疑念を抱くことで不安が広がり、離職意欲の高まりに拍車がかかる可能性もあります。

業務停滞とノウハウの喪失

中堅社員は知識や経験を生かして現場を支える存在です。その退職は業務の引き継ぎ不足を招き、プロジェクトや日常業務の進行を妨げます。残された社員の負担は増し、残業や過労につながる結果、生産性の低下を避けられなくなります。

ノウハウの蓄積が途切れると、新人育成や顧客対応にも支障が出ます。特に専門性の高い業務や取引先との関係維持が困難となり、外部からの信頼低下につながる危険性もあります。

退職の連鎖と組織の不安定化

一人の退職は周囲に強い影響を及ぼします。特に同年代や近い立場の社員が辞めると「自分も環境を変えるべきではないか」と考える人が増えます。その結果、退職が連鎖的に広がり、職場全体の安定性が揺らぎます。

さらに残された社員の負担が増すことで環境が悪化し、追加の離職を招く悪循環に陥るリスクがあります。結果として企業文化や組織風土そのものが崩壊し、長期的な人材確保が難しくなる危険があります。

採用・育成コストの増大

中堅社員の退職は、企業にとって大きなコストの発生につながります。新しい人材を採用するには募集や面接に、費用と時間がかかり、さらに一人前に育つまでには数年単位の育成コストが必要です。突然の退職はこうした投資を無駄にし、採用活動や研修の繰り返しによって財務的な負担を増加させます。

加えて、経験豊富な中堅層が抜けることで若手社員の育成にも遅れが生じ、組織全体の成長速度が鈍化してしまう恐れがあります。

中堅社員が辞めていく会社に共通する特徴

キャリア支援や評価の不公平、弱いマネジメント、ビジョン共有不足、日常の対話不足など、離職が続く職場には共通点があります。自社の現状を照らし合わせ、改善の出発点を見つけましょう。

キャリアパスの不透明性と成長機会の不足

社内に明確なキャリアパスがない会社では、中堅社員が将来の姿を思い描きにくくなります。異動制度や昇格基準が不透明で「次に何を目指せばよいのか分からない」と感じる状況では、成長意欲が削がれてしまいます。

自らの努力が将来に結びつかないと判断した社員は、別の職場に活路を求める傾向が強まります。企業はキャリア面談や職務等級制度を導入し、個人ごとの成長を支える仕組みを整えることが重要です。

不公平な評価制度と待遇の停滞

評価制度や昇給・昇格の仕組みが不透明だと、社員のモチベーションは大きく低下します。特に中堅社員は業界動向や他社の水準を把握しているため、待遇に不公平感を覚えると不満が積み重なりやすくなります。

成果が正当に評価されず、昇進も能力に応じて行われない環境では「この会社にいても報われない」と感じ、退職を選ぶ動機になります。成果と処遇を結びつける仕組みを整えることが欠かせません。

マネジメント力の欠如とトップダウンの弊害

上司や経営陣にマネジメント力が不足している場合も、離職を招く大きな要因となります。強すぎるトップダウンや現場の意見を無視した指示が続けば、社員はやりがいを失ってしまいます。

さらに、若手や中堅の管理職に対する教育が不十分だと、部下育成やチーム運営がうまく機能せず、組織全体の生産性が下がります。管理職研修やサポート体制を整備し、リーダーが適切なマネジメントを実践できるようにすることが必要です。

経営ビジョンの共有不足と不透明性

経営層の掲げる方針や将来の戦略が十分に伝わらない会社では、社員は将来に不安を抱きやすくなります。自分の仕事が会社の成長や目標と結びついている実感を得られないと、組織への愛着や定着意欲が薄れていきます。

経営理念や事業計画を分かりやすく共有し、会社がどこへ向かうのかを明確に示すことが重要です。透明性の高い情報発信は、社員の安心感や信頼感の醸成につながります。

日常的コミュニケーションの不足と孤立化

日常的なコミュニケーションが不足すると、社員の小さな不安や不満が解消されずに積み重なります。中堅社員は上司や部下、他部署との調整役になることが多く、対話の機会が不足すると孤立感を抱きやすくなります。

些細な行き違いが大きな不信感に発展し、退職のきっかけになることもあります。定期的な1on1ミーティングや社内ミーティングを通じて意見交換を行い、声を組織運営に反映することが大切です。

中堅社員の離職を防ぐための具体的な対策

離職を防ぐためには、1on1ミーティングやキャリア支援、柔軟な働き方、管理職育成、ビジョン共有など複合的な施策が効果を発揮します。現場で実践しやすい打ち手に落とし込み、定着を促す仕組みを築きます。

定期的に1on1ミーティングを行う

上司と部下が月1回程度1on1ミーティングを行う制度を整えましょう。大手企業の調査では、若手離職対策として「定期的な1on1ミーティング」の実施が最も多く(76.9%)、実際に効果を感じた施策でも1位(36.8%)でした(出典:PR TIMES)。

1on1では業務報告だけでなくキャリア相談や悩み打ち明けの場にすることで、社員の不安や不満を早期に把握できます。信頼関係が構築されれば「辞めたい」というサインにも気づきやすくなるため、離職予防効果が期待できます。

キャリア研修やスキル支援を実施する

中堅社員は仕事に慣れる一方で、成長の実感を得にくくなる時期でもあります。そのため、専門スキルの研修やキャリア開発の支援は効果的です。外部セミナーや資格取得支援、社内でのメンター制度などを通じて、新しい知識や視点を得られる機会を提供しましょう。

社員が自分の成長を実感できれば「この会社で学び続けたい」という思いを持ちやすくなります。キャリア面談を通じて目標や将来像を明確化することも、離職防止に直結します。

柔軟な働き方と適材適所の配置

中堅層は家庭や育児、介護などのライフイベントを抱えることが多いため、柔軟な働き方の有無が離職に直結します。テレワークや時短勤務、フレックスタイム制を導入するだけでなく、本人の状況に応じて部署異動や役割変更を柔軟に行うことも重要です。

こうした制度は「家庭を優先しながらも働き続けられる」という安心感を与えます。結果として、社員は長期的に会社へ貢献しようとする意欲を持ちやすくなります。

管理職(ミドルマネジメント)教育の強化

中堅社員の定着には、管理職の力量が大きく影響します。部下のモチベーションを高めるスキルや適切なフィードバック方法が欠けていると、不満が蓄積し離職につながります。管理職研修を通じてリーダーシップやコミュニケーション力を磨くことは欠かせません。

評価の仕方や部下の強みを引き出す方法を学ぶことで、チーム全体のパフォーマンスも向上します。信頼される管理職の存在は、社員に安心感を与え、離職の抑止力になります。

経営ビジョンを明確に共有する

会社の方向性や将来像が示されないと、社員は将来に不安を抱きやすくなります。経営層は理念や中長期的な戦略を定期的に共有し、社員一人ひとりの役割がどのように会社の成長に結びつくのかを示すことが大切です。

経営方針を理解し、自分の業務との関連を実感できれば、仕事に対する納得感や誇りが生まれます。社内説明会や経営層との意見交換の場を設けることで、社員の信頼感を高めることができます。

まとめ

中堅社員の大量離職は、組織に深刻な打撃を与えます。人材不足による業務停滞やコスト増加はもちろん、残された社員の士気低下や退職の連鎖を招く可能性も高まります。

こうした状況を避けるためには、キャリア支援や公正な評価、柔軟な働き方の導入、管理職教育の充実、ビジョン共有といった多角的な施策が欠かせません。社員が「ここで働き続けたい」と感じられる環境を整えることが、安定した組織運営と持続的な成長につながります。

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